毎週(火)(木)(土)に入荷する千葉県の生産者「小泉循環農場」の小泉さん
落ち葉堆肥と米ぬか発酵肥料で野菜を育てています 作付面積=4ヘクタール天候など様々な状況に対応できるよう、大根、白菜、ねぎ、こかぶ、ほうれん草、落花生、京菜、黒水菜など年間を通じて約150種類の作物を作る 〔除草〕管理機にて中耕(浅く耕す)。足での土寄せ、鎌や鍬を用いて手作業 〔堆肥〕雑木林から集めた落ち葉を少量の米ぬかで発酵させた落ち葉堆肥 〔土作り〕作物によって落ち葉堆肥や米ぬか堆肥の量を調節し、時間をおいて馴染ませる (GAIAお知らせ2008年1月号「GAIAの作り手」より) 「発酵の面白さに出会っていなかったら、ここまで農業を続けていなかった」と話す、小泉循環農場の小泉英政さん。成田空港から車で約20分ほど行ったところにある循環農場。里山や広葉樹林に囲まれ、その名の通り多くのものが自然の摂理に従って循環している。落ち葉堆肥、米ぬか発酵肥料で作物を育て、種はなるべく自家採取のものを使う。冒頭の言葉通り、この農場では微生物による発酵が野菜作りを支えている。 虫にも気候の変化にも強いと言われる落ち葉堆肥。毎年12月から翌年2月までの3ヶ月間、雑木林で野菜コンテナ約3000個分の落ち葉を集める。そして、それを1年かけて自然発酵させたものが堆肥となる。発酵し始めた堆肥に手を入れると、土とは全く違い、こたつの中でぬくぬくしているような温かさだった。 また米ぬか発酵肥料は、雑草や野菜くずを1年かけて腐植土化し、それと同量の米ぬかを加えたもの。発酵が進むと 度から 度にもなり、湯気が立つという。腐植土の中をのぞくと、多くの虫が動き回っているのが見えた。小泉さんがそれをかき分けて嬉しそうにみみずを探す姿は、私たちが生き物や自然に助けられながら生きていることを忘れてはいけないということを教えてくれているようだった。 小泉さんは農業を始めた35年前から、農薬や化学肥料を使っていない。当時、牛糞の堆肥、鶏糞・魚粉・油粕の肥料使用していたが、徐々に違和感を覚えるようになった。より自然に近い堆肥を作りたいという思いがつのり、それまでの農法を見直した。できるだけ化学物質を畑にもちこまない農業を模索した後、小泉循環農場を1997年にスタート。同時に畑からゴミを出さないように農業用のビニールハウスやポリ製のマルチの使用をやめた。時間をかけても、自然の流れに逆らわずに野菜を作る。こうした姿勢に共感した人々が会員となり、今では約200人に年間約150種類の野菜を届けている。時には、荷物と一緒に季節の花を送ることもある。また会員に、野菜情報の他、小泉さんの想いが書き綴られた『循環だより』を配布。文章を通じて、真っすぐでかつ自然への感謝の念にあふれた小泉さんに魅了される人は少なくない。 「農業は、広い空の下、やわらかな大地の上に立って自然と共に暮すことのできる仕事だ。陽が昇り、陽が沈む一日のリズムに合わせて生き、四季の変化に対応して一年、一年を刻んでいく存在だ」(2007年12月10日〜22日『循環だより』より一部抜粋) 10年経った今、循環農場が軌道に乗り始めた。周囲を見渡すと、コスモスの花が咲き、果実が実り始めていた。「花に見守られた畑を作りたい」と小泉さんは、優しい笑顔で話してくれた。 (取材日:2007年10月19日〜20日、文/佐々木香 写真/久保田真理)
by happy_vegetable
| 2008-12-03 21:35
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